脳関係の簡単な本や青少年向けの本にもよく紹介される、ユーモラスかつ有名なイラストである。
この図は、「ペンフィールドのホマンキュラス」という名前がついている。
ペンフィールドとは、ワイルダー・ペンフィールド(Wider Penfield)。
カナダ、モントリオールにあるマクギル大学の有名な博士であった。
博士はてんかんの患者の脳に電気刺激を与え、発作と同じような反応を示す場所を探して、病源の場所を見つけ、その部分を切除しててんかんの治療をしようとした。
その当時、てんかんは脳のある特定の部位から電気信号が発生し、これが脳のいろいろな部位に無秩序に広がり、その人間に制御できない運動や精神活動が生じるものだと説明されていたからだ。
この無秩序な電気信号を発信する部分を切除すればてんかんは治療することができるとされていた。
彼はてんかん患者163人の脳の手術の際の電気刺激の反応をまとめ、脳地図 ホマンキュラスがつくられた。
このバックグラウンドを知ってしまうと、もうユーモラスとは言えなくなってしまう。
人体実験のような治療から生まれてきた貴重なものなのだ。
脳の解剖についてもっと知りたいかたは、脳の解剖模型で立体的に手にとってみると、よくわかる。
現在では、各中枢神経ごとに色わけされた立体の脳のモデルも入手できる。
人体模型-脳模型-「脳/神経学的彩色」
さて、人間の脳に電気を流すという恐ろしい人体実験には、もっと悲しい歴史がある。
1874年に初めて人間の脳への電気刺激実験を行った、アメリカ、シンシナティのロバーツ・バーソロウ(Roberts Barthlow)の例である。
実験の対象となったのは、メアリ・ラファーティ(Mary Rafferty)という30歳の知的障害をもつ家政婦。
メアリは子供の頃、頭部にひどい火傷を負い、かつらを使用して傷をかくしていた。
しかし、当時のかつらはクジラの骨でできていたため、かつらと頭皮がこすれ、メアリの頭部はひどい潰瘍を起こし、頭蓋骨が直径5センチにもわたって侵食され、脳が露出しまっていた。
彼女の容態は悪化し、死期が近づいていた。
バーソロウはメアリに目をつけ、実験の説明をし、彼女の同意を求める。
メアリは自分の死期が間近なことを承知しつつ、提案された実験を受けることに同意した。
ただ、メアリは知的障害があったので、実験によるリスクなど、どの程度理解して同意したのかは定かではない。
バーソロウの実験は始まった。
最初は、左脳の硬膜に電極を挿入して、できる限り最小の電流を流した。
すると彼女の右側の腕と脚の筋肉が目立った収縮を起こした。
腕は伸び、指も広げられ、脚は前方に伸ばされた。
首の筋肉も運動をし、頭は強く右側に傾いた。
電極を脳の左側から右側に移して、同じ電流を流すと、今度は身体の左側にまったく同じ反応が見られた。
彼はさらに電極を硬膜を破って、脳の内部に差し込む。
電流が流されると、前の実験のように脳の反対側の手脚の筋肉が収縮運動を始め、さらに瞳孔の拡大も観察された。
メアリは手脚、とても強く不快なチクチクする感覚がすると訴えた。
彼女は明らかな苦痛を体験しているにもかかわらず、彼女はまるで面白がっているかのように、顔に笑いを浮かべていた。
そして、バーソロウは電流を上げてみることにした。
すると彼女の顔は大きな不快感を現わし、泣き始めた。
左手がまるで自分のすぐ前にある物を取ろうとするかのように伸ばされた。
腕は痙撃を起こし、目は一点を見つめ、その瞳は大きく拡張した。
唇は青くなり、口からは泡を吹きはじめた。
そして彼女は意識を失い、激しく左側に痙撃を起こした。
この痙撃は5分間続き、その後昏睡状態に陥った。
メアリの意識は発作から20分後に戻ったが、彼女は虚脱感とめまいを訴えた。
彼女は回復のためにベッドに戻るが、その後も発作を何回も繰り返し、結局、実験3日後にこの世を去った。
脳解剖の結果、電極による脳の損傷が発見された。
この実験結果は、世間の批判をあびることになった。
上記のエピソードの詳細や、人間の脳を細工してマインドコントロールをする実験などはこちらの本が詳しくて読みやすい↓
マインド・コントロールの拡張 浜田 至宇 (1995/05) 第三書館 この商品の詳細を見る |
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手術室の感じとしてはいい感じだなあと思っていたら、実はそこに霊が写っている映像だった。
↓
http://www.youtube.com/watch?v=Q4ngQCgB_Rg
やっぱり病院って当然、霊とかいてもおかしくない。
霊能者が見た病院の怪談 千葉 一二三 (2001/07) 青春出版社 この商品の詳細を見る |
早期発見のために自分で検査した方がいいというが、乳癌のしこりと乳腺のコリコリの違いをわかる素人さんは少ない。
でもやっぱり心配・・・というときには、医学教育用にホンモノそっくりにつくられた乳癌モデルで覚えるというテがある。
乳房検診シミュレータセット
手触りも見ためもホンモノそっくりで、乳癌のしこりがしこまれている。
これで手触りをマスターすれば、早期発見できる可能性も上がるのではないだろうか。
専用の台座につけたり、エプロンのように装着したりできるので、アイディア次第で使いみちも増える。
男性も乳房体験をしてみたり、宴会の一発芸で使うこともできる。
また、お気に入りのビキニをディスプレイしたりするのにも使えるスグレモノなのだ。
ところで、乳癌といえば、「摘出―つくられた癌」という小説がある。
完全版 摘出―つくられた癌 霧村 悠康 (2006/12) 新風舎 この商品の詳細を見る |
現役医師が書いた医療サスペンス小説だ。
フィクションなのだが、大学病院の内情は実際の内情がモデルにされているといわれているらしい。
ストーリーは、研修医本木の医療ミスが発端となる。
癌の分野では国際的に知名度の高い名門の医局に入局できて、本木は医師としての希望に燃えていた。
ところが二年目のあるとき、乳癌による右乳房の切除の手術で、病巣のない左の乳房を切除してしまう。
医局の教授であり、その手術の執刀医であった高木は、病巣のある右の乳房も切除し、医療ミスがあったことを隠蔽することにする。
医療ミスをおかした本木は罪の意識に落ち込み、患者さんに何て謝ればいいのかと思い悩む。
ところが、数週間後に本木のもとに届いた病理診断には、術前にはみつからなかった組織内癌が、誤って切除した左乳房にみつかったことが記されていた。
もともと医療ミスだったことがかえって功績になったことで本木は安堵した。
一方、高木教授は自分の指示通りに実際にはなかった癌を病理診断で首尾よく捏造できてほっとし、外科学会長選挙の票集めをすすめる。
ところが、実は罠が隠されていた。
大学病院内の隠蔽工作や出世競争などがどろどろとうずまいていく。
女性なら誰でも、「乳癌」という言葉だけで充分に怖い。
しかも、病気でない乳房を切除してしまうなんて、考えただけでも恐ろしい医療ミスと、それをどうとも思わない恐ろしい医療スタッフ。
もはや「医療サスペンス小説」ではなく、メディカル・ホラーなのである。
だけど、乳癌を怖いものではなくそうと戦ってくれている医師たちもいる。
乳房を切除するどころか、乳房に傷をつけないように乳輪の端にメスを入れて、内視鏡下で癌と乳腺を摘出する手術を研究してくれている医師もいるのだ。
こういった本を読むと、女性の味方になってくれる医師もいるんだな・・・とほっとする。
乳ガン110番―最新国際ガイドラインをやさしく解説 南雲 吉則、岩瀬 哲 他 (2005/12) 日刊工業新聞社 この商品の詳細を見る |
乳癌外科の最前線―その戦略と戦術 野口 昌邦 (2004/10) 金原出版 この商品の詳細を見る |
4人の美少年たちが、無料である豪邸に間借りできるかわりに、その豪邸の持ち主の姪をレディーに教育するというストーリー。最初は、ただの「マイフェアレディ」ネタかと思っていたが、ちょっと違う。豪邸の持ち主の姪スナコはホラー少女だったのだ。
スナコは人体解剖模型や等身大骨格模型を友人としていて、窓を閉め切り部屋を暗くしている。
自分はブスだから人前に出たくないといって暗がりに隠れているのだ。
でも、スナコの真実の姿は美少女で家事も勉強もできる魅力的な女性。
このギャップが生み出すエピソードひとつひとつがけっこう笑えるし、4人の美少年やスナコの女友達のキャラも濃くていい。
メディカル・ホラー好きなら絵的にも魅かれるマンガなのだ。
何といっても人体解剖模型をおともだちにしているというところ、とにかく共感がもてる。
やっぱり一家に一体、人体解剖模型だろう!
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ヤマトナデシコ七変化はアニメのDVDもある↓
ヤマトナデシコ七変化 1 はやかわともこ、 他 (2007/02/07) ポニーキャニオン この商品の詳細を見る |
ヤマトナデシコ七変化 2 はやかわともこ、 他 (2007/03/07) ポニーキャニオン この商品の詳細を見る |
ソウ3―SAW3 ジェームズ ワン、リー ワネル 他 (2006/11) 角川書店 この商品の詳細を見る |
数年前からシリーズで公開されてきた猟奇的映画SAW。
SAW(ソウ)は英語でいくつかの意味がある。
のこぎり、目撃した、格言・・・。
シリーズ1・2を見たかたの中には、ただの猟奇モノだなとも思える。
けれど、ソウ3のリリースでこのシリーズは違ったものになった。
心への問いかけのある猟奇映画なのだ。
最初SAWと聞いて「のこぎり」かと思ったのが、違った意味に思えてくる。
私はカトリック教徒なのだが、キリスト教の大きな教義のテーマとして、「ゆるし」がある。
人は誰でも、本音を言うと、一人くらいは恨みのある人がいるのではなかろうか。
あなたはどうだろう。
私を指導してくれた神父様も、
「私にだっています。」
とおっしゃった。
「その人をゆるせますか?」
私はその問いに対して、「無理かな~・・」と思った。
あなたはどうだろうか。
すると神父様は、
「正直言っちゃうと、私も無理です・・。
でもその人が死に直面した時には、もう恨むのは終わりにしようと思うようにしています。」
あなたなら、それでもゆるせるだろうか。
私はどうかわからないと思った。
キリスト教徒が多い欧米人にとって「ゆるし」は精神的・宗教的な大きなテーマなのだ。
恨んでいる人をゆるすことは不可能に近いくらい難しい。
けれど、キリストが「人をゆるしなさい」と説いたのは、
恨んでいるうちは自分が決して幸せになれないから、
恨みから解放されて自分が幸せになりなさいということなのだ。
けれど、その教えは受け入れ難いものだ。
人はその教えの前で葛藤する。
このテーマがソウ3全編によこたわっている。
あなたら家族を殺した人をゆるせるだろうか。
また、SAW 3にはありあわせの器械で脳手術をするシーンがある。
現実とかけはなれている感じもするが、メディカルホラー・ファンには見逃せない。
1巻と2巻は3巻を読んでからもう一度読むと、最初読んだときとは印象が変わります。↓
ソウ―SAW ジェームズ ワン、リー ワネル 他 (2004/10) 角川書店 この商品の詳細を見る |
ソウ2――SAW2 行川 渉、リー・ワネル 他 (2005/11/10) 角川書店 この商品の詳細を見る |
やっぱりオリジナルの映画は映像も音も迫力です↓
SAW ソウ DTSエディション ケアリー・エルウェズ (2005/03/11) 角川エンタテインメント この商品の詳細を見る |
ソウ2 DTSエディション ドニー・ウォールバーグ (2006/03/17) 角川エンタテインメント この商品の詳細を見る |
SAW 3は残念ながらまだDVDでは発売されていません。
劇場で臨場感たっぷりに鑑賞してくださいね!
公式サイトはこちら↓
http://saw-3.jp/